企業を経営する上で、外部からのサイバー攻撃や自然災害といったリスクへの備えは不可欠です。しかし、それ以上に身近で、かつ企業に深刻なダメージを与える可能性があるのが、組織の内部から発生する「内部不正」です。

従業員による不正行為は、企業の金銭的損失、信用失墜、そして時には事業継続の危機に直結します。

目次
  1. はじめに:内部不正はなぜ起こる?
    1. 動機(Motive)、機会(Opportunity)、正当化(Rationalization)の不正のトライアングル
      1. 動機(Motive)
      2. 機会(Opportunity)
      3. 正当化(Rationalization)
    2. 中小企業が特に注意すべき点
      1. 動機
      2. 機会
      3. 正当化
  2. 【種類別】会社に潜む内部不正の10種類と事例
    1. 1. 情報持ち出し・漏洩: 顧客情報、営業秘密、技術情報など
      1. 詳細
      2. 事例
      3. 関連するデジタル証拠
    2. 2. 経費不正・横領: 架空請求、着服、キックバックなど
      1. 詳細
      2. 事例
      3. 関連するデジタル証拠
    3. 3. 業務上の不正行為: データ改ざん、システム不正操作など
      1. 詳細
      2. 事例
      3. 関連するデジタル証拠
    4. 4. パワハラ・セクハラ: デジタルツールを使った嫌がらせなど
      1. 詳細
      2. 事例
      3. 関連するデジタル証拠
    5. 5. 私的利用: 業務時間中のSNS、ゲーム、ネットショッピングなど
      1. 詳細
      2. 事例
      3. 関連するデジタル証拠
    6. 6. 機密情報の不正アクセス: アクセス権限外の情報閲覧
      1. 詳細
      2. 事例
      3. 関連するデジタル証拠
    7. 7. 背信行為: 競業行為、二重就労など
      1. 詳細
      2. 事例
      3. 関連するデジタル証拠
    8. 8. サボタージュ: 業務妨害、データ破壊など
      1. 詳細
      2. 事例
      3. 関連するデジタル証拠
    9. 9. アカウント不正利用: 他者ID/PWの悪用
      1. 詳細
      2. 事例
      3. 関連するデジタル証拠
    10. 10. 内部犯行によるサイバー攻撃: マルウェア設置など
      1. 詳細
      2. 事例
      3. 関連するデジタル証拠
  3. それぞれの不正行為を見抜く「兆候」
    1. 行動面からの兆候
      1. 不自然な残業・休日出勤の増加
      2. 過度な業務独占・情報共有の拒否
      3. 金銭状況の急変
      4. 人間関係の変化・孤立
      5. 勤務態度の変化
    2. PC・システム利用面からの兆候
      1. 深夜や休日の不審なシステムアクセス
      2. 大量のデータダウンロード・コピー
      3. 特定のファイルへの異常なアクセス
  4. 不自然なログイン履歴
      1. アプリケーションの不審な利用
    1. 経理面からの兆候
      1. 不審な支出や不明な請求書
      2. レシートの偽造・改ざん
      3. 売上や在庫の差異
      4. 小口現金の不一致
  5. 内部不正を防ぐための共通対策
    1. 内部統制の強化
      1. 職務分掌の徹底
      2. 承認プロセスの厳格化
      3. 定期的な内部監査
      4. IT統制の整備
    2. セキュリティ意識向上教育
      1. 定期的な研修
      2. 具体的なルール周知
      3. 啓発活動
    3. 物理的・システム的なアクセス制限
      1. 物理的セキュリティ
      2. システムアクセス権限の最小化
      3. 持ち出し経路の制限
      4. ログの取得と管理
  6. EASY Forensicsが様々な内部不正対策に貢献
    1. 各不正行為に対応するEASY Forensicsの機能
      1. 情報持ち出し・漏洩対策
      2. 経費不正・横領対策
      3. 業務上の不正行為対策
      4. パワハラ・セクハラ対策
      5. 私的利用対策
      6. 機密情報の不正アクセス対策:
      7. サボタージュ・データ破壊対策
    2. 導入のしやすさとコストメリット
      1. 専門家いらず
      2. 低コストでの導入・運用
      3. 運用負荷の低減
  7. まとめ:複合的な対策で会社を守る
    1. 定期的な監査と継続的な改善
    2. 資料ダウンロード

はじめに:内部不正はなぜ起こる?

動機(Motive)、機会(Opportunity)、正当化(Rationalization)の不正のトライアングル

なぜ、信頼して採用した従業員が不正に手を染めてしまうのでしょうか?

この疑問を解き明かすためのフレームワークとして、犯罪学者ドナルド・R・クレッシーが提唱した「不正のトライアングル」が広く知られています。

動機(Motive)

不正を行う理由やプレッシャーです。これは、借金、ギャンブル、生活苦、病気の家族の医療費といった個人的な金銭的困窮であることが多いですが、昇進への不満、会社への不満、ストレス、個人的な復讐心なども動機となり得ます。

機会(Opportunity)

不正を行うことを可能にする環境や状況です。これは、内部統制の不備、監視体制の甘さ、職務分掌の不徹底、特定の従業員への業務集中の結果として生まれます。例えば、経理担当者が一人で現金の管理から帳簿付けまで全てを行っている場合、不正の機会が生まれやすくなります。

正当化(Rationalization)

不正行為を自分の中で「仕方のないこと」「悪いことではない」と納得させる論理です。「会社が自分を正当に評価してくれない」「一時的に借りるだけだから」「みんなもやっていることだ」といった、自己欺瞞的な考え方です。

これら3つの要素が揃ったときに、人は不正に手を染めやすいとされています。この不正のトライアングルを理解することは、内部不正の予防策を講じる上で非常に重要です。

中小企業が特に注意すべき点

中小企業は、大企業と比較して、この不正のトライアングルが揃いやすい特性を持っています。

動機

従業員との距離が近く、個人の状況が見えやすい一方で、個人の金銭問題や不満が表面化しにくい場合もあります。

機会

専門のIT部門や内部監査部門がない、少人数で業務を兼任しているため職務分掌が難しい、といった理由から、不正の機会が生まれやすい傾向にあります。例えば、経理担当が一人しかいない、情報システム管理と運用を同じ担当者が行っているといった状況は、典型的な不正の機会となり得ます。

正当化

企業規模が小さいゆえに、経営者との距離が近く、「これくらいなら許されるだろう」という甘えや、逆に「会社のために」という誤った正当化が働きやすい環境ともなり得ます。

このような背景から、中小企業は内部不正に対して特に警戒し、適切な対策を講じる必要があるのです。

【種類別】会社に潜む内部不正の10種類と事例

内部不正と一口に言っても、その手口は多岐にわたります。ここでは、会社に潜む内部不正を10種類に分類し、それぞれの詳細と具体的な事例、そして関連するデジタル証拠の例を解説します。

1. 情報持ち出し・漏洩: 顧客情報、営業秘密、技術情報など

企業の機密情報や個人情報を不正に外部へ持ち出したり、漏洩させたりする行為です。これは企業の競争力や信用を直接的に損なう、最も深刻な内部不正の一つです。

詳細

顧客リスト、社員情報、営業戦略、製品開発データ、製造ノウハウ、設計図、M&Aに関する情報などが対象となります。USBメモリ、外部ストレージ、個人クラウドサービス、Webメール、SNS、紙媒体など、様々な経路で持ち出されます。

退職者が転職先での利用目的で持ち出すケースが多いですが、現職中に競合他社に情報を売却したり、個人的な復讐心から情報をばらまいたりするケースもあります。

事例

  • 競合他社への転職を控えた営業担当者が、退職直前に顧客リストのデータをUSBメモリにコピーし、転職先で利用した。
  • 開発部のエンジニアが、自社製品の設計図データを個人クラウドストレージにアップロードし、外部の友人と共有した。
  • 経理担当者が、従業員の給与明細データを誤って社外の取引先にメールで送信してしまった。

関連するデジタル証拠

PC操作ログ(ファイルアクセス履歴、USBデバイス接続履歴、クラウドサービスへのアップロード履歴、メール送受信履歴)、ネットワークログ(外部へのデータ送信履歴)、印刷ログ。

2. 経費不正・横領: 架空請求、着服、キックバックなど

会社の資金や資産を不正に私的利用する行為で、最も頻繁に発生する金銭的横領の典型例です。

詳細

  • 架空請求
    • 存在しない取引やサービスに対する請求書を作成し、会社から不正に金銭を支払わせる。
  • 着服
    • 会社の現金(小口現金、売上金など)を直接持ち去ったり、私的に流用したりする。
  • 水増し請求
    • 出張費や接待費などを実際よりも高く偽って請求する。
  • キックバック
    • 取引先との間で不正な手数料(リベート)を受け取り、個人的な利益とする。

事例

  • 経理担当者が、知人の会社に架空のコンサルティング費用を請求させ、会社の資金を流用した。
  • 営業担当者が、顧客から受け取った現金の売上金の一部を着服し、自身の口座に入金した。
  • 出張帰りの従業員が、実際には宿泊しなかったホテルの領収書を偽造し、経費として請求した。

関連するデジタル証拠

会計ソフトの操作ログ、経費精算システムの履歴、銀行取引明細、メール・チャット履歴、PC内の偽造書類データ、監視カメラ映像、経費領収書のスキャンデータ。

3. 業務上の不正行為: データ改ざん、システム不正操作など

業務プロセスやシステムを悪用し、企業の業務記録やデータを意図的に操作することで、損害を与えたり、自身の利益を図ったりする行為です。

詳細

売上データや在庫データの改ざん、顧客データベースの不正な操作、システムの脆弱性を悪用した権限昇格、試験データの捏造などが含まれます。

事例

  • 営業担当者が、目標達成のために架空の売上データを入力し、業績を水増しした。
  • 工場勤務の従業員が、品質検査の結果データを改ざんし、不良品を出荷させた。
  • システム管理者権限を持つ従業員が、ログデータを不正に削除・改ざんし、自身の不正行為の痕跡を隠蔽した。

関連するデジタル証拠

システムログ(ファイルアクセスログ、イベントログ)、データベース操作ログ、会計ソフトの操作ログ、PC内の改ざんツールやスクリプト、メール・チャット履歴。

4. パワハラ・セクハラ: デジタルツールを使った嫌がらせなど

職場におけるハラスメント行為の中でも、デジタルツールを悪用して行われるものです。これは従業員の精神的健康を害し、企業の健全な職場環境を阻害します。

詳細

メールやチャットでの誹謗中傷、SNSでの陰口や不適切な投稿、個人的な情報の暴露、業務連絡からの意図的な排除、返信しない、といった行為が含まれます。

事例

  • 上司が部下に対し、業務時間外にも関わらず深夜に大量の叱責メールを送り続け、精神的に追い詰めた。
  • 同僚が、被害者のプライベートな写真をSNSに無断で投稿し、嘲笑の対象にした。
  • チームのグループチャットから特定のメンバーだけを意図的に外し、情報共有を行わないことで業務を妨害した。

関連するデジタル証拠

メール送受信履歴、チャットアプリの履歴、SNSの投稿履歴、PC操作ログ(特定のWebサイト閲覧履歴、アプリケーション利用履歴)、録音・録画データ、勤怠データ。

5. 私的利用: 業務時間中のSNS、ゲーム、ネットショッピングなど

業務時間中に、業務とは関係のない個人的な目的で会社の設備(PC、インターネット回線、電話など)や時間を使用する行為です。

詳細

SNS閲覧、オンラインショッピング、オンラインゲーム、個人的な動画視聴、株取引、転職活動、私的な連絡、長時間の休憩や離席などが該当します。

事例

  • 従業員が業務時間中に頻繁にオンラインゲームをプレイし、業務に集中していなかった。
  • 休憩時間以外にも、会社のPCで数時間にわたりオンラインショッピングサイトを閲覧し、私物を購入していた。
  • 業務時間中に、会社のPCを使って頻繁に個人のSNSを更新し、私的な投稿を行っていた。

関連するデジタル証拠

PC操作ログ(ウェブサイトアクセス履歴、アプリケーション利用履歴、キーボード・マウスのアイドル時間)、ネットワークログ(非業務Webサイトへのアクセス)、勤怠データ、監視カメラ映像。

6. 機密情報の不正アクセス: アクセス権限外の情報閲覧

正当な権限を持たない従業員が、企業の機密情報や個人情報に不正にアクセスし、閲覧する行為です。必ずしも持ち出しを伴うとは限りませんが、情報漏洩の予備行為となり得ます。

詳細

自身の業務とは関係のない部署の共有フォルダ、人事情報、給与情報、他人の個人データ、経営戦略に関するファイルなどにアクセスし、閲覧する行為。

事例

  • 営業担当者が、好奇心から人事部の共有フォルダにアクセスし、他の従業員の給与明細ファイルを閲覧した。
  • 開発部の従業員が、自身の業務とは無関係な他部署のプロジェクトに関する機密設計書にアクセスし、内容を閲覧した。

関連するデジタル証拠

ファイルサーバーのアクセスログ、認証システムログ、PC操作ログ(ファイルオープン履歴、アプリケーション起動履歴)。

7. 背信行為: 競業行為、二重就労など

従業員が、企業の利益に反する行為を行うことです。

詳細

  • 競業行為: 在職中に、会社の事業と競合する事業を個人的に立ち上げたり、競合他社に情報を提供したりする。
  • 二重就労: 会社の許可なく、他の会社で並行して勤務し、本業に支障をきたしたり、企業秘密を漏洩させたりする。
  • 顧客の引き抜き: 退職前に会社の顧客を個人的に引き抜き、退職後に自分の事業や転職先で利用する。

事例

  • 営業部長が、在職中に自身の名義で同業の会社を設立し、会社の顧客を横流ししようとした。
  • 従業員が、会社に無断で他社のアルバイトを行い、本業の業務時間が減少し、疲労からミスが増加した。

関連するデジタル証拠

メール・チャット履歴(他社との連絡、事業計画に関するやり取り)、PC内の不審なファイル(事業計画書、顧客リスト)、Web閲覧履歴(競合他社の情報、起業に関する情報)、勤怠データ、監視カメラ映像。

8. サボタージュ: 業務妨害、データ破壊など

企業活動を意図的に妨害したり、損害を与えたりする行為です。

詳細

業務を意図的に遅らせる、重要なシステムやデータを破壊する、生産ラインを停止させる、同僚の業務を妨害する、嫌がらせを行う、といった行為が含まれます。

事例

  • 退職を不満に思った従業員が、退職直前に会社のサーバー内の重要なデータを意図的に削除した。
  • 業務に不満を持つ従業員が、システムのバグを放置したり、報告義務を怠ったりして、業務に支障をきたした。
  • 職場に嫌がらせの張り紙をしたり、備品を隠したりして、業務を妨害した。

関連するデジタル証拠

システムログ(ファイル削除ログ、異常終了ログ、改ざんログ)、PC操作ログ(不審なアプリケーション起動、特定ファイルへのアクセス履歴)、監視カメラ映像、メール・チャット履歴。

9. アカウント不正利用: 他者ID/PWの悪用

他の従業員のアカウント情報(ID・パスワード)を不正に入手し、そのアカウントを使ってシステムや情報にアクセスする行為です。

詳細

同僚のPCからID・パスワードを盗み見たり、フィッシング詐欺のような手口でパスワードを聞き出したりして、そのアカウントになりすまして不正な操作を行う。

事例

  • 従業員が同僚のPCからパスワードを盗み見し、その同僚のアカウントで人事システムにログインし、給与情報を閲覧した。
  • 管理者のアカウント情報を不正に入手し、システム設定を勝手に変更したり、機密情報をダウンロードしたりした。

関連するデジタル証拠

認証システムログ(不審なログイン履歴、IPアドレス)、PC操作ログ(不審なアプリケーション起動、Web閲覧履歴)、ネットワークログ。

10. 内部犯行によるサイバー攻撃: マルウェア設置など

悪意を持った従業員が、自社のシステムに対して直接的にサイバー攻撃を仕掛ける行為です。

詳細

マルウェア(ウイルス、ランサムウェアなど)を意図的に社内システムに設置する、システムの脆弱性を悪用して不正アクセスを行う、DDoS攻撃(サービス妨害攻撃)を仕掛ける、といった行為です。

事例

  • システム管理者が、会社への不満から、社内ネットワークにマルウェアを設置し、データの破壊を試みた。
  • 特定の従業員が、企業のサーバーに対して不正なポートスキャンを行い、脆弱性を探索していた。

関連するデジタル証拠

システムログ、ネットワークログ、PC操作ログ(不審なツールのダウンロード・実行履歴)、マルウェアの痕跡、メール・チャット履歴。

それぞれの不正行為を見抜く「兆候」

内部不正は巧妙に隠蔽されることが多いですが、多くの場合、何らかの「兆候」を伴います。これらの兆候に早期に気づくことが、被害拡大を防ぐために極めて重要です。主な兆候を3つの側面から見ていきましょう。

行動面からの兆候

従業員の普段の行動や態度に、以下のような変化が見られる場合、注意が必要です。

不自然な残業・休日出勤の増加

業務内容や成果に見合わない、深夜や休日の不審な出勤が増える。不正行為の隠蔽や実行のために人目を避けている可能性。

過度な業務独占・情報共有の拒否

特定の業務を一人で抱え込み、他者への情報共有や引き継ぎを頑なに拒む。不正が外部に知られることを恐れている可能性。

金銭状況の急変

給与に見合わない高級品の購入、派手な金遣い、借金の増加、金銭トラブルの増加など、私生活における不自然な金銭状況の変化。

人間関係の変化・孤立

特定の同僚を避けたり、逆に不自然に親密になったりする。職場で孤立する、協調性がなくなる。精神的なストレスや不正隠蔽の心理的負担の表れ。

勤務態度の変化

遅刻・早退・欠勤の増加、集中力の低下、業務ミスや問題の増加、責任転嫁が増える。

PC・システム利用面からの兆候

従業員のPCや企業の情報システム上の不審な動きは、デジタル的な不正行為の重要な兆候です。

深夜や休日の不審なシステムアクセス

通常業務ではアクセスしない時間帯や、本来権限のないシステムへのアクセス履歴。

大量のデータダウンロード・コピー

職務上必要のない、あるいは不自然な量のファイルを大量にダウンロードしたり、外部ストレージにコピーしたりする履歴。

特定のファイルへの異常なアクセス

職務権限や業務内容から見て、本来アクセスする必要のない機密ファイルや個人情報ファイルへの頻繁なアクセス。

不自然なログイン履歴

短時間での複数回ログイン失敗、通常と異なるIPアドレスからのログイン、不自然なログイン時間の延長。

アプリケーションの不審な利用

業務外のゲーム、SNS、ショッピングサイトなどのアプリケーションの利用、あるいは不明なソフトウェアのインストール履歴。

経理面からの兆候

金銭が絡む横領や経費不正は、経理・会計データに直接的な痕跡を残すことが多いです。

不審な支出や不明な請求書

内容が曖昧な、または高額な経費や支出の増加、説明のつかない取引先への支払い。

レシートの偽造・改ざん

手書きの領収書の不自然さ、金額の書き換え、修正痕。

売上や在庫の差異

帳簿上の売上や在庫と、実際の数値との不一致。

小口現金の不一致

小口現金の残高と帳簿上の記録が頻繁に一致しない、使途不明な支出。

内部不正を防ぐための共通対策

多岐にわたる内部不正を包括的に防ぐためには、単一の対策ではなく、以下に示す「3つの柱」を組み合わせた複合的なアプローチが不可欠です。

内部統制の強化

不正の「機会」をなくすために、組織的な仕組みを整備することが重要です。

職務分掌の徹底

一人の従業員に重要な業務(例えば、会計処理における入金管理、帳簿入力、支払い承認の全て)を集中させず、複数の従業員で業務を分担し、相互にチェックできる体制を構築します。これにより、不正が行われにくく、また行われたとしても早期に発見されやすくなります。

承認プロセスの厳格化

金銭の支出や契約締結など、重要な業務については、必ず複数人の承認を必要とする承認プロセスを設け、決裁権限を明確化します。

定期的な内部監査

経理データ、システムログ、業務プロセスなどが適切に運用されているか、定期的に内部監査を実施します。これにより、不正の兆候や管理体制の不備を早期に発見できます。外部の専門家による監査も検討しましょう。

IT統制の整備

システムへのアクセス権限管理、パスワードポリシー、ログ管理のルールなどを明確にし、適切に運用します。

セキュリティ意識向上教育

不正の「動機」や「正当化」に影響を与え、また「人的ミス」を防ぐためには、従業員一人ひとりの意識改革が不可欠です。

定期的な研修

新入社員研修や定期的なコンプライアンス研修において、情報セキュリティの重要性、内部不正が企業と個人にもたらす影響、社内規定の内容、そして自身の行動が不正につながる可能性などを、具体的な事例や動画を交えて分かりやすく解説します。

具体的なルール周知

「メール誤送信防止策」「USBメモリ利用制限」「業務中の私的利用禁止」など、具体的なルールとその理由を従業員に徹底的に周知します。

啓発活動

社内報、ポスター、イントラネットの掲示、メールなどを活用し、日常的にセキュリティに関する注意喚起や啓発活動を行います。

物理的・システム的なアクセス制限

物理的な環境と情報システムの両面から、不正の「機会」を減らす対策です。

物理的セキュリティ

サーバー室や重要書類保管場所への入退室管理を厳格化し、許可された者以外は立ち入れないようにします。監視カメラの設置も有効です。

システムアクセス権限の最小化

従業員が自身の業務を遂行するために必要最小限のデータやシステムにのみアクセスできるよう、アクセス権限を厳格に設定し、定期的に見直します。不要な権限は速やかに削除します。

持ち出し経路の制限

USBメモリ、外付けHDD、個人クラウドストレージ、Webメールなど、外部への情報持ち出し経路となりうるデバイスやサービスへのアクセスを制限または禁止します。デバイス制御ソフトやWebフィルタリングソフトの導入も有効です。

ログの取得と管理

PC操作ログ、ファイルアクセスログ、システム認証ログ、ネットワークログなど、あらゆる操作ログを取得し、安全な場所に保管します。これにより、万が一不正が発生した場合の原因究明や証拠収集が可能になります。

EASY Forensicsが様々な内部不正対策に貢献

IT部門がない中小企業にとって、上記のような内部不正対策を自社で全て実行することは、コストや専門知識の面で大きな負担となるでしょう。そこで活用したいのが、「専門家いらず」で内部不正対策を強力にサポートするツール「EASY Forensics」です。

各不正行為に対応するEASY Forensicsの機能

EASY Forensicsは、本記事で解説した様々な種類の内部不正に対応し、その発見・調査を支援する機能を備えています。

情報持ち出し・漏洩対策

PC操作ログ

誰が、いつ、どのファイルを、どこへコピーしたか(USB、クラウド、メール添付など)といった詳細なファイル操作履歴を記録し、不審な情報持ち出しの兆候を検知します。

退職者PCのデータ保全

退職者のPCからデータを簡単かつ法的に有効な形で保全し、退職後の不正使用や証拠隠滅のリスクに備えます。

経費不正・横領対策

PC操作ログ

会計ソフトや経費精算システムの操作履歴、不審なファイル(偽造領収書など)の作成・編集履歴を記録し、不正な会計操作の痕跡を特定します。

ファイル復元支援

故意に削除された会計データや関連ファイルの痕跡を検出し、復元を支援します。

業務上の不正行為対策

PC操作ログ

データ改ざんに関わるファイルへのアクセス履歴や、不審なアプリケーションの起動履歴などを記録し、不正なシステム操作の痕跡を追跡します。

システムログ解析

より詳細なシステムイベントログの収集・解析も支援し、複雑な不正のプロセスを解明します。

パワハラ・セクハラ対策

メール・チャット履歴の保全

パワハラに関するメールやチャットのやり取りを、改ざんのリスクなく保全し、内容を調査します。

PC操作ログ

パワハラ行為が行われた時間帯のPC操作履歴(不適切なWebサイト閲覧、他者への攻撃的なメッセージ作成など)を間接的な証拠として活用できます。

私的利用対策

PC操作ログ

ウェブサイトアクセス履歴、アプリケーション利用履歴、キーボード・マウスのアイドル時間などを詳細に記録・可視化し、業務時間中のSNS、ゲーム、ネットショッピングといった私的利用の状況を把握します。

機密情報の不正アクセス対策:

ファイルアクセス履歴

権限のない従業員が機密性の高い共有フォルダやファイルにアクセスした履歴を記録し、不正アクセスを検知します。

個人情報ファイルの自動検出

社内のどこにどのような個人情報ファイルが存在するかを自動で検出し、管理を支援します。

サボタージュ・データ破壊対策

ファイル削除履歴

不審なタイミングでの大量データ削除や、重要なファイルの削除履歴を記録し、意図的なデータ破壊の痕跡を特定します。

PC操作ログ

データ破壊に関わる不審なツールやコマンドの実行履歴を記録します。

導入のしやすさとコストメリット

EASY Forensicsは、中小企業の課題を解決するために設計されています。

専門家いらず

高度なIT知識やフォレンジックの専門スキルがなくても、直感的なインターフェースで簡単に導入・運用が可能です。複雑な設定やコマンド操作は不要です。

低コストでの導入・運用

高額な専門ツールや外部の専門業者に毎回依頼するコストを大幅に削減できます。クラウドベースのサービスも提供されており、高価なサーバー機器の導入も不要で、月額料金制などで手軽に利用開始できます。これにより、限られた予算の中でも、継続的に内部不正対策を強化することが可能になります。

運用負荷の低減

PC操作ログの自動収集、レポート生成機能、不審な動きの自動検知機能などにより、管理者の運用負担が軽減されます。日々の業務に支障をきたすことなく、効率的にセキュリティ監視を行えます。

まとめ:複合的な対策で会社を守る

内部不正は、企業の最も脆弱な部分を突く脅威であり、その防止には多角的で継続的な対策が不可欠です。IT部門がない中小企業であっても、「うちは狙われない」という誤解を捨て、積極的に内部不正対策に取り組むべきです。

定期的な監査と継続的な改善

不正のトライアングルを理解し、「ルール整備」「従業員教育」「ツール導入」という3つの柱をバランスよく実施することが、内部不正対策の成功の鍵です。一度対策を講じたら終わりではなく、不正の手口は常に進化しているため、社内規定の見直し、従業員への定期的な研修、そしてシステムログの監視と分析といった「定期的な監査」と「継続的な改善」のサイクルを回し続けることが重要です。

これにより、不正の機会を減らし、従業員の意識を高め、万が一不正が発生した際には早期に発見し、適切に対処できる強固な企業体質を築き上げることができます。健全な企業文化を醸成し、従業員が安心して働ける環境を整えることが、企業の持続的な成長に繋がるのです。

資料ダウンロード

貴社の内部不正対策に不安がある方、IT部門がなくてどこから手をつければ良いか分からない経営者の皆様、どうぞご安心ください。本記事で解説した内部不正の種類と見分け方、そしてEASY Forensicsのような「専門家いらず」のツールを活用した対策について、さらに詳しい情報が必要な方、または導入をご検討中の方は、ぜひ詳細な資料ダウンロードをご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。専門のスタッフが、貴社の状況に合わせた最適な対策とアドバイスを提供いたします。

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